妙な1日

たひと月ほど日記をお留守にしてしまった。そのあいだ特に重要なことなどなかったのだけれど、例えば上司の生誕祭に遅れて登場し、所謂遅参者がさせられる乾杯の挨拶で男の上司に愛の告白をしたことが妙にウケたり、少し体を動かしただけで次の日にくる筋肉痛が切なかったり、あるいはざざ雨の日に茨木まで車をとばして滞在時間が移動時間の4分の1という全く非生産的な休日を過ごしてみたり(助手席に座っていた友達はそうでもなかったご様子)、“妙な1日”が多かったような気がする。


そういえば今日、いつもの時間いつもの休憩でいつものハンバーガーの列に並んでいたときのこと。タッチの差で僕より早く列の最後尾に付いた老人が他の客たちをしれっと抜かして、レジから数えて2番目のところまで行ってしまった。ほぼ同時に付いた僕が6番目だというのに。“年寄りだから”という理由で順番抜かしが許される暗黙の了解も嫌いだが、何も気にしていないフリをする老人の得意技はもっと嫌いだ。こちらとしては1秒でも早く買い物を済ませて文字通りの休憩に入りたいという心持のなか、それでも例えこの老人が何番目だろうと僕が6番目なことに変わりはないなどと考えているうちに自分の順番がきた。他人の接客はトロく見えるが自分の番が来るとやり取りはスムーズで一瞬のうちに事が運ぶ。急いで戻る横目、さっきの老人が視界に入る。彼は順番抜かしをしたぶんだけ早く食事にありついていた。ふと彼の手元を見て驚いたことは、その老人はハンバーガーを上下逆にほおばっていたこと。つまり、平べったいパンが上でゴマがのった丸パンが下という具合。そうか、この人は本当に何も気にしていないのかっと思うと妙におかしくなって、含み笑いを噛み殺しながらフードコートを後にした。


あぁ、2時までには寝床に入りたかったのに、気が付けば3時。偶然出会った老人の奇行のせいで、睡眠時間がどんどん削られる。けれど、どうしても書きたかった。どんなに老いぼれたとしても、社会的ルールを逸脱したうえにファーストフードの食べ方まで蔑ろにするような大人にならないためにも。ただ、妙な1日だと言ったところで“妙じゃない1日”の方が少ない感じがするのも事実。変な人や変な天気、変なニュースで平凡な日常は作られていて、時には自分が誰かにとって変な奴になることもありえる。明日も“妙な1日”であることを期待しよう。